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W杯2026 日本代表候補 スカッド総合評価

2026年3・4月のスコットランド戦・イングランド戦をともに1-0で撃破し、ベストとも言える結果を残してW杯前最後の欧州遠征を終えた日本代表。
6月11日の開幕まで残り約2カ月となり、いよいよ最終26名の選考を進めなければいけない。
本稿では独自の定量指標を用いて、2025年より選出されている候補選手53名を対象に横断的に評価を行った。
指標はクラブでの出場実績、FotMob平均評価、日本代表通算キャップ評価の3軸に所属リーグ係数で補正し、さらに現時点のコンディションと「特性」の有無で総合評価を算出した。

評価指標について

総合評価 = (クラブ貢献評価 + 代表経験評価 + クラブパフォーマンス評価) ÷ 3 × コンディション係数 × 特性補正

【クラブ貢献評価 (1〜5)】
出場時間 ÷ (リーグ試合数 × 90分) × リーグ係数 × 100 をスコア化。
75以上=5 / 50以上=4 / 30以上=3 / 15以上=2 / 15未満=1

【代表経験評価 (1〜5)】
通算代表キャップ数。0キャップ=1 / 1〜4キャップ=2 / 5〜14キャップ=3 / 15〜29キャップ=4 / 30キャップ以上=5

【クラブパフォーマンス評価 (1〜5)】
FotMob平均評価。7.5pt以上=5 / 7.0pt以上=4 / 6.5pt以上=3 / 6.0pt以上=2 / 6.0pt未満=1
(複数クラブ在籍時は試合数加重平均)

【リーグ係数 (0.81〜1.00)】
Optaベースのリーグ強度係数。PL=1.000 / La Liga=0.949 / Serie A=0.936 / Bundesliga=0.935など。クラブ貢献評価の算出に内包。

【コンディション係数】
万全(3)= ×1.0 / 復帰予定だが万全でない(2)= ×0.75 / 直近での復帰目途なし(1)= ×0.5

【特性補正】
森保監督のチーム作り、戦術に合致する強みを持つ場合に加算。特性2(替えがきかない)= ×1.4 / 特性1(強みあり)= ×1.2 / なし= ×1.0

候補選手一覧

選手名クラブ総合評価特性状態
GK
鈴木 彩艶パルマ4.67★★
早川 友基鹿島アントラーズ4.00
谷 晃生町田ゼルビア3.67
小久保 玲央ブライアンシント・トロイデン3.33
大迫 敬介サンフレッチェ広島3.33
野澤 大志ブランドンロイヤル・アントワープ3.00
DF
谷口 彰悟シント・トロイデン4.80
渡辺 剛フェイエノールト4.40
菅原 由勢ベルダー・ブレーメン4.00
伊藤 洋輝バイエルン・ミュンヘン4.00
鈴木 淳之介FCコペンハーゲン4.00
瀬古 歩夢ル・アーヴル3.67
荒木 隼人サンフレッチェ広島3.33
冨安 健洋アヤックス3.15★★
板倉 滉アヤックス3.00
長友 佑都FC東京2.75
橋岡 大樹ヘント2.67
関根 大輝スタッド・ランス2.67
安藤 智哉ザンクトパウリ1.75
高井 幸大川崎フロンターレ1.25
町田 浩樹ユニオン・サン・ジロワーズ1.17×
MF
佐野 海舟マインツ055.00★★
鎌田 大地クリスタル・パレス5.00★★
三笘 薫ブライトン&ホーヴ・アルビオン5.00★★
堂安 律アイントラハト・フランクフルト5.00
伊東 純也ヘンク5.00★★
中村 敬斗スタッド・ランス5.00
守田 英正スポルティングCP4.40
相馬 勇紀町田ゼルビア4.33
久保 建英レアル・ソシエダ4.20★★
藤田 譲瑠チマザンクトパウリ4.00
佐野 航大NECナイメヘン4.00
田中 碧リーズ・ユナイテッド4.00
望月 ヘンリー海輝町田ゼルビア3.67
鈴木 唯人フライブルク3.33
遠藤 航リバプール3.00
森下 龍矢レギア・ワルシャワ3.00
佐藤 龍之介FC東京3.00
三戸 舜介スパルタ・ロッテルダム3.00
斉藤 光毅クイーンズ・パーク・レンジャーズ2.67
南野 拓実ASモナコ2.20×
俵積田 晃太FC東京1.33
熊坂 光希柏レイソル1.00
FW
上田 綺世フェイエノールト5.00★★
前田 大然セルティック5.00★★
小川 航基NECナイメヘン3.60
後藤 啓介シント・トロイデン3.33
塩貝 健斗ボルフスブルク3.27★★
大橋 祐紀ブラックバーン・ローヴァーズ3.00
細谷 真大柏レイソル3.00
町野 修斗ボルシア・メンヒェングラートバッハ2.67
平河 悠ブリストル・シティ2.33
北野 颯太レッドブル・ザルツブルク2.33
★★替えがきかない特性あり強みとなる特性あり復帰予定だが万全でない×復帰目途なし

クラブ実績 vs 総合評価

クラブ実績 vs 総合評価

横軸:クラブ貢献評価(クラブ出場率×リーグ係数×100)
縦軸:総合評価
プロットサイズ:特性補正の強さ
ポジション別で表示を切り替えられます。

GK(3枠)

GK 候補

各指標の総合評価への寄与量。★ = 特性補正あり、▲ = コンディション低下。

GKで絶対的な存在は鈴木彩艶だ。セービング力の高さに加え、規格外のキック力と精度を併せ持ったロングキックでビルドアップに貢献できる点は唯一無二。怪我で離脱はあったものの、パルマでもレギュラーであり、代表キャップも22を重ねている。スターターは鈴木彩で疑いの余地はないだろう。

残り2枠について、総合評価を見ると早川友基がやや抜けてはいるものの、谷晃生、小久保玲央ブライアン、大迫敬介、野澤大志ブランドンは横並びの印象を受ける。これらのメンバーが入る可能性は十分考えられるが、控えGKはサポート的な役割も多く含まれるため、現チームへの親和性という点で、これまで好んで選ばれてきた早川・大迫という序列は変わらないと予測する。

DF(8枠前後)

DF 候補

各指標の総合評価への寄与量。★ = 特性補正あり、▲ = コンディション低下。

主力クラスと言えるのは谷口彰悟・渡辺剛・伊藤洋輝・鈴木淳之介の4名だ。谷口は統率力と経験で既にDF陣のリーダー。渡辺はフィジカルを活かした対人の強さが際立つ。伊藤洋輝はロングフィードという明確な武器を持ち、バイエルン・ミュンヘン所属のクオリティを示している。鈴木淳之介はボールを持ち運べる万能型のサイドバックとして今後の代表の主軸になりうる。

菅原由勢はこれまでの起用状況から当落線上の一人とも言えるが、スコットランド・イングランドとの2試合でいずれも出場機会を得た。ブンデスでもシーズン通じて一定の出場を確保しており、右サイドバック・右ウイングバックのバックアッパーとして選ばれる可能性が高い。

瀬古歩夢は代表での守備面で悪目立ちしてしまったシーンのため過少評価されている一人だ。欧州の所属クラブで継続して確かな結果を残してきている通り、守備能力だけでなくロングフィードも得意で、所属クラブではアンカーも務める器用さを持つ。怪我での離脱も少なく、短期決戦において欠かせない戦力になると予想する。

注目は冨安健洋。まだ復帰途上と言え、アヤックスで出場わずか6試合198分に留まっており、現時点の総合評価は実力を反映していない。完調時のパフォーマンスはレベルの高いDF陣の中でも異色。短時間であっても起用したくなる頼もしさがあるため、フル稼働が見込めずともメンバー入りの可能性は十分ありうるが、回復状況を最も注視したい選手の一人だ。

板倉滉・高井幸大・安藤智哉・町田浩樹はいずれも選ばれる実力があるが、現時点では怪我を抱えており不透明。上記冨安と同様に、今後のコンディション、所属クラブでの活躍次第と言える。同ポジションにコンディションが不安な選手を複数抱えるわけにはいかないため、状況次第では橋岡大樹や荒木隼人が滑り込む可能性も考えられる。

MF(10枠前後)

MF 候補

各指標の総合評価への寄与量。★ = 特性補正あり、▲ = コンディション低下。

満点評価となった佐野海舟・鎌田大地・三笘薫・伊東純也・中村敬斗・堂安律は絶対的な存在だ。いずれも代替の利かない強みを持ち、佐野海はボール奪取力と運動量、鎌田は高いテクニックとゲームメイク力、三笘はワールドクラスのボールコントロールとドリブル、伊東は衰えない突破力と精度高いクロスをもって、スコットランド戦・イングランド戦でもその実力を示した。

中でも、中村はフランス2部所属のため目立ちにくいが、ゴール前での落ち着きは欧州トップクラスとも言え、イングランド戦でも決定的な仕事を果たし、運動量も圧倒的だった。本番ではフィニッシュの質も期待ができる。

堂安は、クラブでの調子は開幕時と比較すると控えめであるものの、攻撃と守備を高レベルでこなすことができ、勝負強さやポジティブなキャラクターはチームに欠かせない。

また、怪我から復帰間近の久保建英も、創造性とラ・リーガでの実績は唯一無二であり、コンディションが戻れば確実に選ばれる存在だ。久保の復帰に伴い微妙な立場となるのは、スコットランド戦で出場した鈴木唯人か。フィニッシュやキャリーに魅力のある鈴木だが、代表の主力は攻撃面だけでなく強度の高い守備ができるメンバーばかり。今後のクラブでの更なる活躍が求められる。

嬉しい悩みなのが守備的MFの争いだ。佐野航大・藤田譲瑠チマは前目のポジションへの対応力もあり台頭目覚ましいが、アピールしきるには至らなかった。田中碧は今回2試合とも出場機会を得ておりやや優勢か。遠藤航・守田英正も入ってくる。遠藤はリバプールでの出場機会が限られており、怪我の状態も軽度ではないことから現状は厳しい。守田はゲームを読む力が高く、入れば確実に助けになるだろうが、森保監督の序列はそれほど高くないと考えられ、各クラブ残りシーズンでの活躍が選考を大きく左右するだろう。

唯一の懸念点は左サイドのウイングバックの専任不在だ。前田大然もここではフィットしきっておらず、三笘・中村をそのポジションに固定するわけにもいかない。鈴木淳や伊藤も選択肢にはなるが、場合によっては相馬勇紀のような国内組の抜擢も十分ありうる。

FW(4枠前後)

FW 候補

各指標の総合評価への寄与量。★ = 特性補正あり、▲ = コンディション低下。

エースは言わずもがな上田綺世。フェイエノールトでの実績に違わず、フィニッシュの強さ、精度に加え、高強度のポストプレーや質の高いプレスも可能で、いるといないとで戦い方が変わってくる存在。コンディションを崩さずに本番を迎えることだけを望む。

前田大然も順当な選択だ。左サイドでの起用が続き、活躍が限られている印象もあるが、前線からの鬼プレスはある意味コンディションに左右されず発揮でき、ワールドクラスの武器とも言える。特に劣勢時には必ずチームの助けになる。

今回のイギリス遠征で最もインパクトを残したのは塩貝健斗だろう。そのスピード・瞬発力・体の強さ・アグレッシブな姿勢は何かを起こしてくれる予感を漂わせており、残りのシーズン、ヴォルフスブルクでなんとか結果を残し出場を決定付けてほしい。

小川航基・後藤啓介・町野修斗もレベルの高い争いになっている。誰が入ってもおかしくないが、より器用な印象がある町野はクラブでほとんど出場できていない点が大きな懸念材料となる。小川は高さという武器を持つが、こちらもクラブでは十分な出場機会を得られていない。二人に比べると経験は浅いが、シント・トロイデンで充実のシーズンを送る後藤にも十分チャンスがある。

まとめ

スコットランド・イングランドとの連戦を完勝したことで、チームとしての完成度と自信が一段と高まった印象だ。一方で、怪我人の多さは引き続き大きな懸念材料。森保監督は、できる限りこれまでにより関わった選手を選出したいだろうが、残り約2カ月での各々の回復・調整によって、入れ替え必要になる可能性がある。

総合評価で4.5以上となった選手、鈴木彩艶、谷口彰悟、伊東純也、中村敬斗、鎌田大地、佐野海舟、三笘薫、堂安律、上田綺世、前田大然は当確としてあげたい。一方で、総合評価として高く、欧州CLで依然戦っている守田英正がこのまま選考外となってしまうのかは注目したいところ。

記事中では名前を挙げなかったが、前十字靭帯損傷という大きな怪我を負った南野拓実が復帰に向けたトレーニングを開始したというニュースも飛び込んできた。長く苦しむことになるかと思われた中で、このスピード感での回復は朗報だ。代表実績と、本来の能力を考えれば、間に合うようであれば選考対象に上がってくることは間違いない。

記事中の指標はあくまで定量的な試みであり、監督の評価や戦術的適性を反映するものではない。W杯での活躍を楽しみにしている一日本サッカーファンとしての思いを含んだアウトプットとして捉えてもらえると幸いだ。