三苫薫 24/25シーズン分析
ブライトンの三苫薫といえば、鋭いドリブルや突破力をまず思い浮かべる人が多いだろう。
しかし、今シーズンを含む直近数シーズンの試合を振り返ると、怪我やコンディションの影響はあるにせよ、以前のように無理に仕掛ける場面は明らかに減っている。
それでも、相手選手やブライトンのサポーターにとって、三苫の存在感が薄れたという印象はほとんどない。
実際、24/25シーズンのプレミアリーグでは10ゴール4アシストを記録し、ゴール関与という最も分かりやすい指標で結果を残している。
また、ボールを受けた瞬間から複数の相手選手が、突破を警戒して素早くマークに寄せる光景は、今季も頻繁に見られた。
その背景にある要素の一つが、三苫のファーストタッチの質である。ロングボールや鋭い縦パスに対しても、1〜2タッチで体勢を整え、相手にとってリスクの高い位置にボールを置くことで、寄せるタイミングそのものを奪っている。
2025年2月15日のチェルシー戦で見せた、GKからのロングボールを流れるようにコントロールし、そのままゴールへとつなげた一連のプレーは、この特徴を象徴するシーンと言える。
もっとも、このファーストタッチの巧みさは、残念ながら一般に公開されているデータ指標から直接捉えることは難しい。
では、三苫の選手としての特徴は、データ上ではどのように表れているのだろうか。
本稿では、プレミアリーグ上位8クラブで類似した役割を担うウインガーと比較しながら、その特徴を読み解いていく。
Kaoru Mitoma 24/25
三苫の24/25シーズンにおける各指標(1〜5スケール、比較選手でランク正規化)
比較用にピックアップした選手
ジェレミー・ドク(マンチェスター・シティ)
ガブリエウ・マルティネッリ(アーセナル)
コーディ・ガクポ(リヴァプール)
ペドロ・ネト(チェルシー)
ハーヴィー・バーンズ(ニューカッスル・ユナイテッド)
ジェイドン・サンチョ(チェルシー)
カラム・ハドソン=オドイ(ノッティンガム・フォレスト)
攻撃面での特徴
高いxGを記録した一方で、決定機を逃す場面も少なくなかったことが示唆されている。
これは、もっとゴールを挙げられたとも言えるが、相手にとっては危険な存在であったことも事実だ。
例えば、「右からのクロスにギリギリで飛び込む」、「スルーパスに抜け出してシュート」などが、ゴールを脅かした印象的なシーンとして挙げられる。
特に24/25シーズンからはスピードに定評のあるヤンクバ・ミンテと両翼を担い、多くのチャンスを創出している。
ドリブルやクロスの試行回数は、他のウインガーと比較すると突出した数値ではない。
例えば、ドリブルではドク、クロスではマルティネッリやネトの方が、より積極的に関与していることが分かる。
これは三苫が、成功率の低い個人突破や無理なクロスを選択するよりも、味方との連携を重視した「チームとしての崩し」を優先していることを示唆している。
実際、近年はドリブル突破の回数を意図的に抑えていることを、三苫自身もインタビューの中で語っている。
Mitoma vs Doku / Martinelli 24/25
vs ドク、マルティネリ 24/25シーズン
守備面での特徴
インターセプトやタックル数の多さは、三苫の守備意識の高さを端的に示している。
決して対人守備の強度で勝負するタイプではないものの、常に適切なポジションを意識し、タイミングを見てボールを奪いにいく姿勢は、チーム全体の守備バランスを支えている。
先発時のプレー時間が比較的長いことからも、試合展開に左右されず守備面での安定感をもたらす存在として、ヒュルツェラー監督から高い信頼を得ていたことがうかがえる。
さらに、空中戦の勝率が高い点も、サイドアタッカーとしては意外性のある特徴だ。
身長が特別高いわけではないが、優れた空間把握能力とジャンプのタイミングによって補っており、熱心に試合を見ているファンほど気づきやすい「隠れた強み」と言える。
まとめ
三苫は個人で局面を打開できるスキルとスピードを備えながらも、単純に仕掛けの回数で勝負する典型的な「ドリブラー型ウインガー」とは一線を画している。
攻撃にとどまらず、守備や空中戦を含めて試合全体に関与しており、「バランス型」のプロファイルを確立している。
上位クラブの同ポジションの選手と比較しても、攻撃面だけに依存せず、守備貢献や試合への関与度という点で際立った存在と言える。